かみがた

今週のお題「髪型」 とりつくろうことをやめて このお題に向き合うと どうしても、あの子のくせ毛が思い浮かぶ たぶんきっと、お互いを心底憎み合っているわけでもなくて、 例えば今わたしが、あの時はごめんね、気にせずやっていこう、なんてLINEして、 小…

おさえるこころ 2

今週のお題「恋バナ」 「んで、そっちは最近どうなの?」 渋谷の喧騒から少し足を伸ばしたところにあるこのカフェは、どことなくわたしたちが通っていた高校の美術室に似ている湿気っぽい雰囲気が気に入って、2人で近況報告会を開くときにはどちらかが言い出…

おさえるこころ 1

『ゆうたー、ごはんできるわよー』階段の下から声を張ると、ちいさくはーいという返事が聞こえた。返事を確認するといそいそとキッチンへ戻り、ごはんと味噌汁をよそい、ダイニングテーブルへ運ぶ。手作りしたリネン地のランチョンマットには、右下にそれぞ…

転がるように愛して。

時が、とまっている比喩でもなんでもなくて この感覚は、 しっかりと、 時がとまっている まさにその感覚あの日、あの出来事から、そんなつまづきがあるわけではなくて、ただ、ゆっくりと、とまってしまったとまってしまったことを、理解するのに時間はかか…

覚悟のはなし。

他人の頑張りを認められないことそれを認めてしまうことは、じぶんの怠惰を認めること夏の終わり、ぐんと下がった気温に寂しさと嬉しさを感じながら、じぶんにきいてみる得たものはあるのか得たものなんてなくたっていい海の向こうのことを知らなくても、な…

「狂っているのに、こんなにも正しいのだから。」

村田沙耶香さん、芥川賞候補にあがってて、びっくり、な反面、そのうちあがるだろうな、となんとなく思っていた。候補作のコンビニ人間はまだ読んでないのだけれど、授乳、しろいのまちの〜、マウス、などを読んで。雑誌maybe!の創刊号にも玉城ティナのグラ…

おとなになる

外へ出ると冷たい空気が体を包み、それが服の隙間から器用に入り込んでくる。冷たい空気が身体を突き抜けていくような感覚は、いつになっても苦手。ただ、今年は例年よりも暖かい冬であるとどの気象予報士も口々に言っているからか、冬が寒いことを体感して…

変わってゆくこと。

「新しいピアスが欲しくて。これとかどうかなあ?かわいくない?」100人ほどが入れる大きな講義室。その前から5列目の右端あたりに、わたしとゆりは席を取っていた。文系学部のわたしたちがなぜ理工学部の講義室にいるのか、わたしたちもよくわからないけれ…

黄色い牡丹

今週のお題「植物大好き」 わたしが小学校に入る直前に祖父が亡くなり、それから10年以上、祖母はひとりで、あの広い、広い家に住んでいる。 祖母がひとりで住む平屋は木造の二階建てで、一階は居住スペース、二階は以前お蚕さんを飼っていた場所、らしい。…